序章  新しい「ホスピタルフリー・サバイバル」

外来で抗がん剤治療を受ける――4つの負担

(1)時間的負担

外来抗がん剤治療は1時間程度の比較的短いものから、6時間を超える長丁場の治療もあります。ある患者さんの例を示します。膵臓がんで一日目に約5時間の抗がん剤治療、それに引き続き48時間持続の抗がん剤投与を2週毎に受けている方です。重いものを持ったための腰椎の圧迫骨折があり、歩くのに杖は欠かせない方でした。

自宅から病院まで車で15分くらいのところに住んでおり、今のところは何とか自分で運転して来院できます。でも、病気が進行して体調が悪くなったり、腰痛が強くなるようであれば、自分で車の運転をすることは難しく、家族のサポートが必要になります。

ある治療日の具体的な時間経過を示しましょう。

【一日目】

午前7:15自宅出発

午前7:30病院着

午前8:10採血検査

午前9:10医師の診察

午前9:30抗がん剤治療開始

(昼 ベッドの上で食事)

午後3:30病院での抗がん剤治療終了

午後4:00会計 

午後5:00調剤薬局で薬の受け取り後に、帰宅 

朝に自宅を出発してから夕方に帰宅するまでの所要時間は、順調にいっても9時間45分になります。さらに、患者さんは抗がん剤を48時間投与するための携帯ポンプを装着した状態での帰宅です。

 

【一日目~二日目】

携帯ポンプをつけたまま自宅で生活

【三日目】

携帯ポンプがほぼ空になった頃(たいていは昼過ぎ)に、また病院を受診して携帯ポンプをはずします。

このように大変な治療を2週毎に受けている患者さんが多くいます。