第一章 十二支縁起の新解釈
自己心理学から見た十二支縁起の意義
それを証明する唯一の方法は、誰もが認めることのできる合理的な解釈の仕方を示すことだと思われます。
そのための一つの試みを示してみたいと思います。
それが今日において合理的な解釈であるかどうかは、皆さんの判断にゆだねたいと思います。
凡夫による、こじつけ十二支縁起
では、その十二支縁起をゴータマ・ブッダにならって説いてみたいと思います。
無明に縁(よ)って老死が起こる
老死に縁って生が起こる
生に縁って有が起こる有に縁って取が起こる
取に縁って愛が起こる愛に縁って受が起こる
受に縁って触が起こる触に縁って六処が起こる六処に縁って名色が起こる
名色に縁って識が起こる識に縁って行が起こる行に縁って無明が起こる以下繰り返し⋮⋮。
これを現代語に訳すと以下のようになります。
(心の中に)
「自分という錯覚」(自我)が生まれることによって、自分の老死の苦が起こる自分の老死の苦によって、自分の生が苦となる
自分の生が苦となることによって、自分の存在のあり方が問われる自分の存在のあり方によって、自分の生存への執着が起こる
自分の生存への執着によって、自分の生存に関わる執着欲が起こる
自分の生存に関わる執着欲によって、自分の感情(快・不快)が起こる
自分の感情によって、他人との接触が起こる
他人との接触によって、互いの身体知覚が起こる
互いの身体知覚によって、互いの個人名が呼ばれる
互いの個人名によって、自他の識別が起こる
自他の識別によって、自分の行為の記憶(エピソード記憶)が形成される自分の行為の記憶によって、「自分という錯覚」(自我)が起こる以下繰り返し……。
ここで新しい解釈による十二支縁起の各支分の意味について詳しく説明する必要があるかと思われます。