「……よ、レッカ。気が付いたか?」

その言葉を頼りに、俺は無様な寝顔を彼に晒していたことを察し、小さく喘ぐような声を出すと共に意識を戻す。

つい最近もあった、こんな経験にデジャブを感じ妙に感覚が気持ち悪い。

「……い、院さん? ここは?」

俺の傍で腰を下ろしていた院さんの顔を見て、応える。

「大学の空き教室だ」

「大、学? え? ああ……、何で俺、そんな……。 っていうか、俺どうなったんすか?」

「憑依生命体との戦いの時、気ぃ失ったんだ。だからオレがここまで運んできた」

俺の脳内に刻まれた気絶する以前の記憶を断片的に思い出し、瞬間的に正気に戻る。

「憑依、生命体!? あの後……!」

勢いよく体を起こし、彼に顔を向ける。

「大丈夫。あの後、すぐにSPHが来て、その場はやりすごしたぜ」

「そおっすか、よかった。……すいません、俺あんまり役に立てずに」

せっかく、張り切って挑んでいった勝負の結末を、俺は無様に「気絶」で終わったことを理解した。

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