すぐに転がり憑依生命体から身を引いて安全な距離を取る。
驚くべきことに院さんも俺のような恰好をしていた。
しかし、それは右肘から手先まで、右膝から足先まで、左膝下から足先までで、それ以外の部位はこの前会った時と同じ生身の人間のそれだった。尤もそれは色や形状が異なっており全身オレンジ色を基調とする俺に対し、院さんは白色が大部分を占め、膝には突起のようなものが付いている。
「これがオレのエフェクターとしての姿。って言っても、言ってた通りお前ほど綺麗には展開出来てないだろ? ……うおっ!!」
苦笑いを浮かべる院さんの会話を阻害するように、剣を振り回す憑依生命体。
「院さん!?」
「っつ! 今は喋ってる暇ねーな。おいレッカ、今はコイツに集中するぞ! いいか、じきにSPHが来る。その間、オレ達が陽動だ。出来るだけ建物や公共のものは狙わすな。あと、人には注意しろ!?」
「……分かりました!」
あんまり分かってないけど、そんなこと言える状況じゃない。
取り敢えず、人に迷惑をかけないように、出来るだけ俺たちに狙いを集中させる、って感じか?
院さんは俺のものと違って、所々生身の部位が目立つ。
もし、生身の体の部分に憑依生命体の攻撃が当たったらかすり傷なんてもんじゃない、大変なことになる。
ここは、俺が体を張って頑張るしかない……!!
「うおおおおお……!!」
「おい!? レッカ?」
気合の満ちた声と共に突っ込んでいった結果、俺は奴の膝蹴りを見事に食らい横ひとっ跳びでコンクリートに激突した。