私も筑波大学で博士号を取得し、 3年間も筑波大学で大学院生を対象とする2単位の集中講義をさせて頂いたので、子供の頃の目標(自我)は何とか果たせたのかも知れない。長い時間を掛けて目標(自我)に向かって進めば、不可能とも思えることを成し遂げることができる。
父は長男ではあるが、農業から飛び出し商売人への道を進んだ。新しい道を開拓することにより、父も素晴らしい人生を歩めたのだろう。私は父が求めた商売人への跡継ぎを拒否し、化学分野で研究開発会社を設立し、経営者の道を歩んだ。お陰で父が敷いた路線とは全く異なる人生を歩んできたが、私も面白い人生を歩めたと思っている。
人生は未知の世界との出会いに満ちている。未知の世界は私に苦悩を与えるが、長い時間を掛けて向き合うことにより、少しずつ楽しみに変化してきたように思う。苦しみの中から楽しみも生まれるので、大変な人生を歩んできたが、面白い人生を送ることができたと感じている。
幸い、健康にも恵まれ、退職によってあり余る時間を手に入れた。友人の勧めもあり、自我が私の人生を形成したこと、研究開発会社を起業できたこと、人生の難問に立ち向かっていけたこと等の3テーマについてまとめてみた。
自我とか、難問に向き合い、考えることにより人間の本質や人間が持っているメカニズムが少しは見えてくる。この本ではこれらの本質とかメカニズムについても考察した。
まだまだ若いと思っていたが、気が付けば81歳を超えたので、老い先短き老人だ。余生は平均寿命から考えて、まだまだ続くとは思えないが、人生100年時代とされている。私も後10年程度は元気で頑張り、若者の気持ちで暫くはこの世に居座りたい。