「どうするんだい、お前。塾に行くのか、行かないのか?」

母さんは僕に聞いた。

「ごめん……行くよ。塾に行く」

僕が小さな声で言うと言葉も終わらぬうちに父さんの大きな声がした。

「行かなくていい」

えっという顔で母さんは父さんを見て、僕も見た。

「行かなくていい、嫌なら行くな」

もう一回父さんは言った。あまりに気まずくて、僕はその後のことをはっきり覚えていない。僕の中ではとても辛いことで、その後、父さんが何日も僕に話をしてくれなかったことだけは覚えている。ともかくそれ以来、僕は塾に行っていない。

僕たち四人の友情は、この街で生まれ、この街で育った。隅田川がきれいな風景であった時も、汚く騒々しい姿に変わった時も、この固い絆はほどけないと思っていた。もっとも隅田川の風景は僕たちが生まれ育ったときも、今も大して変わりはしない。

しかし、僕たちが小さい時の隅田川はとてもきれいに見えた。父さんや母さんに連れられて隅田川の土手の桜並木の下を歩いて、大きな川の流れを楽しんだものだ。

ことに春の桜の美しいときは人が多く、祭りの時は出店のようなものが並んで、僕はとても楽しかった。

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