ストゥーパを写真に収めたところで、スワヤンブナートはカトマンズ盆地を見渡せる絶景ポイントだということを思い出した。境内の周りは霧に包まれていたが、うっすらと見える景色が幻想的だ。

丘から望む霧の下に広がるカトマンズ市街地は実に美しい。緑の中に、白や茶色の四角い家がぽこぽこと散らばってみえる。ひたすら歩き、ついぞ目にした光景は忘れられないものとなった。

初めての友だち

ネパールの寺院を散策するときは、ストゥーパを時計回り(右回り)に歩かなくてはならない。もともとインドの礼法の一つである『尊崇の念を表す対象には右肩を向けて、その周囲を右回りに回る』という内容が仏教に取り込まれ、定着していったものだという。

ストゥーパの周りには、チベット仏教の法具である『マニ車(ぐるま)』が備え付けられている。円筒状の本体が縦に貫く心棒によって回る仕組みになっており、それが横にいくつも連なっている。

金属で作られたマニ車の側面には、チベット文字で「オムマニペメフム」と唱える言葉(マントラ)が刻まれている。中にはロール状に巻かれた経文が入っており、一回回すと経文を一回読んだのと同じ功徳があるといわれ、右手で回しながら進んでいくのである。

右回りの世界では、後戻りすることができない。間違って反対に回ると、悪いことが生じると考えられている。したがって、「あっ、あれをもっと詳しく見たい」と思ったら、もう一周しなければならない。

友人はチベット仏教に興味があるため、もしかしたらと想定していたところ、やはり何度も回ることになった。いつまで続くのかと心が折れそうになったとき、遠くにヒマラヤの白い峰が一つだけ見えた。

これは大変珍しいことだと、他の観光客から聞いた。経文のわからない私にとって、これも功徳だと思うことにした。さて、何周回ったのだろうか。

そして、やっと友人のマニ車巡礼が終わった。ありがたや、ありがたや。

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