「四年前で、いくつくらいのおばあちゃん?」

「八十は過ぎていたと思う。うちのおばあちゃんと同じくらいだったんじゃないかな」

真琴の祖母、つまり櫻井氏の母親は、昨年八十五歳で亡くなっている。

「でも、おばあちゃんの葬儀が終わったあと、家族みんなで挨拶に行ったんだけど、確かパパがお隣さんはもういらっしゃらないから、って言っていたような気がする」

もういらっしゃらないということは、亡くなったということか。もしくは施設にでも入っているということなのか。ともかく隣の住宅も空き家だったというのなら、警察にしてみれば目撃者をみつけるのはなかなか難しいことだろう。

「じゃあ、この辺り三軒目くらいまで空き家だったとして……でも、その先には住んでいる人もいるのよね?」

あずみは路地を覗き込んで真琴に訊いた。

「う~ん。まだこの先には行ってみたことはないのよねぇ」

「ちょっと行ってみる?」

「うん」

人が通れるくらいに雪がかき分けてある細い路地を進んで行くと、向かって右側には、ずっと住宅が連なって建っていた。路地を挟んで左側は、雑木林だ。だが四軒目くらいから、左側にも住宅が見え始めた。近所には住民もいるはずだが、家々はひっそりと建っている。

住民がいるとは言っても、子供がいるような若い世代の住民がいる雰囲気はあまり感じられない。朝の慌ただしいこの時間帯でも静かなのである。

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※本記事は、2023年4月刊行の書籍『善悪の彼方に』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。