「ねぇ、どうする? そろそろ学校に行く?」

真琴も啓介の目のあるうちは、遠慮が出てくるらしい。あずみに問うてきた。

「改めてって言っても面倒だし、証拠を見つけ出すには早いうちがいいんじゃない?」

「そりゃ、そうだけど……」

あずみは、この機会にもう少しここの団地の様子を確認しておきたいと思った。

「ねぇ、ここには、真琴のお父さんの実家があったんだよね?」

あずみは、更地側を指さして聞いた。一か月前まで櫻井氏の実家が建っていたはずだ。

「うん、そうよ」

今回火事のあった住宅は、表通りから一番手前の建物だから、櫻井氏の実家は表通りから二軒目に建っていたことになる。その道沿いの路地を奥まで覗いてみると、そのまま住宅が続いているようだ。

表通りから数えて三軒目、つまり、櫻井氏の実家を挟んで今回火事のあった住宅の反対側にも住宅が見えた。

「三軒目の住人は、何か見ていなかったのかなぁ?」

あずみは小さくつぶやいた。もちろん警察も一番に注目をしているはずだ。

「それが、よく分からないんだけど……そこも空き家じゃないかと思うの」

「え? そっちも?」

「うん」

真琴も、実家には年に数回立ち寄るくらいだったので、あまりはっきりしないんだけど、と前置きしながら言った。

「三軒目の家は、数年前まで確かおばあちゃんがひとり住んでいたはずなの」

真琴は思い出しつつ答えた。

「それって何年くらい前のこと?」

「そうだなぁ。私が高校生の頃だから、もう四年くらい前かなぁ?」