小説 詩 恋愛 2024.03.21 詩集「ホロス」より三篇 虚無からの豊作 ほうれん草が食べたいなら 緑を描きなさい 卵が食べたいなら 黄色を描きなさい ご飯が食べたいなら 白を描きなさい ごちそうさまをしたら 窓の外の星空を見上げなさい ほうら、 お腹いっぱいになったでしょう? 【前回の記事を読む】詩集「ホロス」より三篇 【イチオシ連載】結婚してから35年、「愛」はなくとも「情」は生まれる 【注目記事】私だけが何も知らなかった…真実は辛すぎて部屋でひとり、声を殺して毎日泣いた
エッセイ 『一人十色』 【第5回】 イドゥルギ ヒロ,イドゥルギ ヒロ 「お父さん、大丈夫だと思うけど、ある程度の覚悟はしておきなさい」――震災後2週間たっても親の迎えがない息子に、先生は現実を… 【前回記事を読む】やっとの思いで到着した家は一階が津波の被害で泥や大木で覆われている。息子はそこには居なかった三日後に中学校に行ってみると、水はまだ周囲を覆っているが、比較的校舎には入りやすくなっている。職員室前の掲示板の前で数日振りに息子と出会えた。息子は何でもない様子だったが、私の方は号泣してしまった。最後に人前で号泣したのは何年前だろう。学校側も最後の避難生徒が親に迎えに来てもらって安堵し…
小説 『訳アリな私でも、愛してくれますか』 【第16回】 十束 千鶴 新しく入ってきた社員はいかにも軽そうな男だった。彼は会社のお荷物か、それとも救世主か……? 【前回の記事を読む】会社の理不尽に苛立ち心が揺れる私へ、「誰も同じ思いをさせない」と語った彼の優しい声に心が和らいだ「……だったら、私に今できることは、相手を反面教師にすることと、この負の連鎖を続けないこと、ですね」「……はい」くるみはぐっと背伸びをして、大きく息を吸った。話さなくても理解してくれる人がそばにいると、こんなにも心強い。「……なんか、笹川さんって不思議ですね。なんであれだけのことし…