小説 詩 恋愛 2024.05.05 詩集「ホロス」より三篇 ホロス 【第5回】 rim. 何かひとつでも、あなたの心を軽くするヒントがきっとある――。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 季節のゆるやかな移行とともに、誰しもが経験する様々な感情をのびのびと描いた詩集。※本記事は、rim.氏の書籍『ホロス』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 稲妻 この潔い一本の柱に 誰も介入してくれるな 邪魔などしてくれるな 男の理性は無用 女は本能で出す さあ、見せてくれ
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【新連載】 春山 大樹 赤信号無視の乗用車が、トラックに衝突し大破した。シートベルトをしていなかった重症の若者が搬送された、その病院の医師は… けたたましいサイレンの音が鳴り響いている。そしてその音は嫌な気持ちになる程どんどん大きくなってきて、すぐそこまでやってきたと思ったら突然聞こえなくなった。ERの自動ドアが開いて救急車から下ろしたストレッチャーを白いヘルメットと青いコートを身に着けた二人の救急隊員が中に運び入れた。ストレッチャーの上で、頸椎カラーを装着され、オレンジ色のクッションで頭部をバックボードに固定された若い男が苦しそうに冷…
小説 『我輩は清掃人じゃ』 【第10回】 ホモ・サピエンス 直球で堂々と真っ向勝負するのが最高じゃ。後悔したり、臆することなく闘うのが、最も美しいのじゃ。 そこでじゃ。事件が発生しとる現場まで見学に行こうかと思ったのじゃ。いや、見学ではなく見物か。邪魔はせんので、見させてもらえばよいのじゃが。とにかく音を頼りに、その方向まで行ってみるのじゃ。ハンドルを握る右手と、リードを引っ張る左手、押されるだけのチャリンコ。歩いていくと、人だかりができていて、黒煙が高く蔓延している通りに出た。さっき見たばかりの大邸宅からちらほらと炎が舞っておる。厳格な門構えと高…