小説 詩 恋愛 2024.05.05 詩集「ホロス」より三篇 女 白い布を纏って 今日も私は波 もうすぐ満ち潮 その時赤く染まる 血の海で 私の中の魔物たち するすると溶けてゆく 【前回の記事を読む】詩集「ホロス」より三篇 【注目記事】あの日深夜に主人の部屋での出来事があってから気持ちが揺らぎ、つい聞き耳を… 【人気記事】ある日突然の呼び出し。一般社員には生涯縁のない本社人事部に足を踏み入れると…
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【新連載】 春山 大樹 赤信号無視の乗用車が、トラックに衝突し大破した。シートベルトをしていなかった重症の若者が搬送された、その病院の医師は… けたたましいサイレンの音が鳴り響いている。そしてその音は嫌な気持ちになる程どんどん大きくなってきて、すぐそこまでやってきたと思ったら突然聞こえなくなった。ERの自動ドアが開いて救急車から下ろしたストレッチャーを白いヘルメットと青いコートを身に着けた二人の救急隊員が中に運び入れた。ストレッチャーの上で、頸椎カラーを装着され、オレンジ色のクッションで頭部をバックボードに固定された若い男が苦しそうに冷…
小説 『ヴァネッサの伝言 故郷』 【第31回】 中條 てい 足を滑らせたユリアが川に落ちたのをファラーが咄嗟に助けに入ったが、水流は激しく、二人は抱き合ったまま流され… 前日はこの季節にしては珍しいほどの温かさで、午後になって少し雨が降った。そのちょっとした雨が、上流に残っていた雪を溶かして川は一気に増水したという。足を滑らせたユリアが川に落ちたのを、ファラーが咄嗟に助けに入ったが、水流は激しく、二人は抱き合ったまま流され、かろうじて流れの少し澱んだところで岩にしがみついた。バーラスが無事を確認して大急ぎで館(やかた)へ縄を取りに帰ったが、戻ってみると、もうその…