小説 詩 恋愛 2024.05.05 詩集「ホロス」より三篇 女 白い布を纏って 今日も私は波 もうすぐ満ち潮 その時赤く染まる 血の海で 私の中の魔物たち するすると溶けてゆく 【前回の記事を読む】詩集「ホロス」より三篇 【注目記事】あの日深夜に主人の部屋での出来事があってから気持ちが揺らぎ、つい聞き耳を… 【人気記事】ある日突然の呼び出し。一般社員には生涯縁のない本社人事部に足を踏み入れると…
エッセイ 『ボクは、笑顔でできている ~多くの人に支えられて、白血病と闘うことができました~[注目連載ピックアップ]』 【第2回】 向井 健一郎 「病名は急性リンパ性白血病です」"急性リンパ性白血病"は約10万人に1人の確率で発症する。なぜ私が、と妻と二人で泣いた。 翌日の朝に、もう一度血液検査とエコー検査などを行いました。消化器内科の医師からは、「肝臓や脾臓は少し腫れているが、これが痛みの原因とは考えにくいです。最初のCTスキャンの画像を見ると、リンパ腺がいくつか腫れているところが見られたので、午後からは血液内科で診てもらいましょう」という話がなされました。私は「血液内科」とは初めて聞く名前だったので、これは何の病気だろうと思っていました。午後、病室が血液…
小説 『真夜中の精霊たち』 【第8回】 新見 上 普段は一頭しか仕留めてこなかった彼が、たった一本の矢でもって七頭ものバッファローを仕留めて部族全体が大いに沸き立った 【前回の記事を読む】儀式が終わると手早く彼女の皮を剥ぎ、持ち運べるだけの大きさに細かく肉を分ける。彼女の心臓はその時、まだ温かかった。走っている動物の真横に馬をぴったりつけて並走し、一本の矢で確実に心臓を一突きにする技を、彼はひたすら磨いた。お陰で狩りに行くときは一本の本矢と、何かあったときのための二本の予備矢だけという、誰よりも軽装な出で立ちになった。ハイホースや他の仲間たちは、誰が一番多く狩…