小説 詩 恋愛 2024.02.10 詩集「ホロス」より三篇 ホロス 【第3回】 rim. 何かひとつでも、あなたの心を軽くするヒントがきっとある――。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 季節のゆるやかな移行とともに、誰しもが経験する様々な感情をのびのびと描いた詩集。※本記事は、rim.氏の書籍『ホロス』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。 飛べ! 意識は広大だから 落ちていくように 一瞬の隙間に身を委ねよう それはまるで 高いところからバンジーショー
小説 『約束のアンブレラ』 【新連載】 由野 寿和 ずぶ濡れのまま仁王立ちしている少女――「しずく」…今にも消えそうな声でそう少女は言った 二〇〇三年の年末。猛烈な雨が、差しているビニール傘を氷のように叩きつけている。静岡県藤市にある藤山を局地的な大雨が襲っていた。静岡県警の鳥谷(とりたに)は手に持っていた新聞を口でくわえると、慌ててしゃがみ込んだ。泥でぬかるんだ足元に、大量の水が靴を侵食する感覚が襲った。「こんな雨の中、こんなところにいたら風邪をひいてしまう。ここは危険な場所だ。お嬢さん、名前は?」少女はずぶ濡れのままその場に仁王…
小説 『魂業石』 【第17回】 内海 七綺 「さて、なにをして遊ぼうか。可愛いお嬢さん」後ろから口を塞がれ空き家に引っ張り込まれた。その手にはナイフが握られていた。 「ごめん、その日は会議があるから休めないんだ。その次の週じゃだめ?」少し意地悪をしたくなって、雪子は首をかしげた。「えぇ、どうしよう。その日以外はしばらく旦那さん、出かける予定ないんだ。ご飯作ってあげないとだから、旅行は難しいかも」オロオロしながら、愛弓が早口でまくし立てる。「へぇ、そっかぁ」あの太った冴えない薄毛旦那にそこまで尽くせるなんて、信じられない。本当は背が高くて男前な伸親のような男が…