第2章 改善活動は、まずベース固めをすることが重要

その杉本さんが、GACを退任されて数年後、私もGACに赴任することとなった頃に、声をかけていただきたくさんの資料をいただき、「君に預ける、やる」と受け取った中の多くが「5S」に関するものだった。

杉本さんも、生産会社の経営をされながらも「5S」のことをいろいろと考えられ、研究されていたことに心が動いた。そこで気づいたのが、「段階的」ということ。

また、自分なりにいろいろな生産現場をやってきて、その現場のニーズ、レベルに合ったやり方をしてきたんだろうかと、考えさせられた。

さて、仕入先訪問での5Sへの取り組み姿勢のことへ戻って。

もう1つの反省は、「整理・整頓もお忘れなくお願いします」と済ませて出張レポートには、「5Sのレベルが低かった」なんて書いていたこと。これが、訪問先に伝わっても「では、どう改善すればいいんだ?」となり先に進まない。

こんなことから、ある時から「自分の今の会社状態、工場の実態に合わせて何が適切なのか」を自問自答して、やり方を変更、工夫することを始めた。

事例(1)ガムテープで「整理」のスタート

準備物:ガムテープ(赤色、黄色)、油性ペン(太字)、メモ帳

活動:該当する現場の責任者と共に現場の隅々まで見て歩く。

通常の生産活動に使っていないようなもの、通常の置場から外れておいてあるもの、仮置き品、チョイ置き品を見つけて、片っ端から「これ、要るの?」と確認して、即答で「不要」なものには「赤色のテープ」を貼る。

「答えに迷っているもの」には「黄色」、をどんどん貼りまくる。「赤色(不要物)」の置場(スキッド、仮収納箱等)を用意して、2,3日の間に移す。「黄色」は責任者がもう一度考えて「要・不要」を決める。ここまでは、普通にできる。大事なのは、「黄色」の処置。収納などの処置責任者の名前と期日を黄色いテープに書き込む。

① 後から、振り返ってみると、連番を付けておく

② リストを作りながら歩く(赤・黄区分、場所、品名、個数、処置責任者、期日、収納先、等)

③ 「赤色スキッド」を乗せた台車を転がしながら見て歩き、「赤は、その場で回収」などのアイデアも思い付いた。

当時実行できなかったが、「赤」「黄」となった理由を何かの形で明らかにすれば、次の改善に結び付きそう。ここでも、リストを工夫すればいろいろなアイデアが出てきそうだ。それぞれの原因には、共通項がありそうで該当職場以外の改善にも繋げることができると思う。