「彼女が彼にキスするのが見えたの」スーザンは言った

「葉っぱのすき間を覗くと彼女が見えたわ。彼女はそこで踊っていたの、ダイヤモンドの燦めきを点々と身にまとい、塵(ちり)のように軽やかに。けれども私はずんぐりしているわ、バーナード、背も低いし。

私はよく両眼を近づけて地面を見るから、草の中の昆虫が見えるの。このわき腹の黄色く温かなものが石のように硬くなったわ、ジニーがルイスにキスするのを見たときに。私は草を食べ、溝の中で、枯れ葉の腐った茶色い水の中で死ぬの」

「君の行くのが見えたんだ」バーナードは言った

「君が道具小屋の扉を通り過ぎるとき、『悲しいわ』って泣き叫んでいたね。僕はナイフを下に置いた。ネヴィルと一緒に薪からボートを作っていたんだ。それに髪の毛はぼさぼさ。

なぜってミセス・コンスタブルが僕に髪の毛をとくように言ったとき、蜘蛛の巣にハエが一匹かかっていたんだ。それで『逃がしてやろうかな? それともそのまま食べられてしまうままにしておこうかな?』って思ったんだ。そんなこんなでいつもすぐにできないのさ。

僕の髪の毛はぼさぼさで、木切れの削りくずだらけさ。君が泣き叫んでいるのでついていくと、怒りや憎しみを結わえてくしゃくしゃに丸めたハンカチを下に置くのが見えたんだ。でもすぐに治まるさ。ふたりの体はこんなに近いよ。僕が息をするのが聞こえるだろ。それにカブトムシが葉っぱを一枚、背中に乗せて運び去るのも見えるかな。こっちに行くと思えばあっちに行くよ。