だから、たったひとつのもの(今はルイスだね)を手に入れたいという君の望みでさえ、カブトムシをじっと見ているうちに弱くなっていくさ。ブナの葉っぱが明るんだり陰ったりするようにね。そしてその後で、君の心の奥深くにうごめいている言葉が、ハンカチの中にくしゃくしゃに丸めたこのつらい気持ちを解きほぐしてくれるよ」
「大好き」スーザンは言った
「でも大嫌い。私が欲しいものはただ一つ。私の眼差しは冷たいわ。ジニーの眼差しは千々の光彩を放つの。ローダのは、夕暮れになると蛾のやってくる淡色の花みたい。あなたのは表情に満ちあふれ、決してそれを失わないの。でも、私はもう欲しいものを追いかけているわ。
草の中に昆虫がいる。お母さんはまだ私に白いくつ下を編んでくれたり、エプロンドレスのすそ上げをしてくれたりするけど、そして私はまだ子供だけど、大好きで、大嫌いなの」
「でもこうして一緒に座り、身を寄せ合っていると」バーナードは言った
「僕たちは一つに溶け合い、言葉が連なって浮かんでくる。僕たちは霧に包まれ、空想の国を築くんだ」
「カブトムシよ」スーザンは言った
「それは黒く見えるわ。それとも緑色かな。私には言葉が一つずつしか浮かんでこないの。でもあなたは絶えず興味が変わり、いつの間にかいなくなり、どんどん高く昇っていきながら、言葉が次々と連なって生まれてくるわ」
「さあ」バーナードは言った