六車線のほぼ真ん中あたりで、車がもう一台の車の上に乗り上げ、まるでお供えのお餅のような状態になっていたのです。事故が多いとは聞いていたものの、あまりの凄まじさに開いた口が塞がりませんでした。
今回は、陽介が留学する学校に比較的近い場所に宿をとることにして、アナハイムのマリオットレジデンスホテルにしました。あのディズニーランドが歩いてすぐのところにあり、夜の九時前になると毎日十五分間打ち上げる花火がホテルから見られました。
来年本格的に留学した時のために、新宿の留学エージェントAと契約している現地スタッフの富田さんという人が紹介されました。富田さんは岡山で教員をやっていた時に、英語の臨時の先生としてやってきたインド系アメリカ人と知り合い、やがて恋に落ち、結婚してカリフォルニアに住むこととなったそうです。
現在は日本人向けの留学コーディネーターとして現地スタッフを務めています。真面目で人の良さそうな方ですが、どこまで仕事ができるのかは未知数でした。
富田さんの、のんびりとした性格をみて、これまで自分の会社の社員採用のための面接を何人もこなしてきた私は、アメリカで仕事をしているとこうなってしまうのかなという一抹の不安を抱いていました。その不安は的中しました。
一か月の短期留学が始まる二日ほど前に、富田さんがホテルに来てくれ、例によってこれから自分で通わなければならないため、学校までの道のりを案内してもらいました。
富田さんに先導してもらい最初に陽介の学校を目指し、そこから今度は私の通う語学学校を案内してもらいました。次の日の午前中は私が道を覚えたかどうか確認するために、私が先行して走り、富田さんは後ろからついてきました。
最初の学校にたどり着いたところまでは良かったのですが、次に私の語学学校に向かう途中で、なにぶん初めての道順なので一回では理解できていなかったために、フリーウェイの分岐を間違えて進んでしまいました。
一瞬の間をおいて間違えたことに気が付いた私は、当然後ろについてきているであろう富田さんの車を探しましたが、見当たらず、並行して進んでいる分岐の正解の道に目をやると、うれしそうな顔をしてこちらを見ている富田さんの車が目に入りました。
なっなっ、なんで?
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