第一章　留学の夢

初めての短期留学

メリーマウントカレッジはロングビーチに近いランチョ・パロス・ベルデスという丘の上に位置し、目の前には太平洋が広がるとても景観のいい場所にありますが、海に近いせいか、時々霧が出て、キャンパスの中を歩いていると、目の前数メートルを霧が通り抜けてゆくという幻想的なシーンに出会うことがあります。

学校へ向かう丘の途中にはなぜか時々野生のクジャクが羽を広げているのに出くわすことがあります。

このあたりでは珍しいことではなく、時々住宅の屋根の上で羽を大きく広げて我が物顔で自己主張している時もあれば、家のドアを閉め忘れれば勝手に住居侵入してくることもあるそうです。

メリーマウントカレッジのキャンパス

三週間の滞在期間中の食事はレジデンスホテルのため、近くのスーパーマーケットで食料を買い、多くは自炊をしたのですが、たまには外食もしました。

歩いて一～二分のところに小さなモールがあり、レストランがいくつか入っている中で、チャイニーズレストランがあったので、ある日の夕食はその店でとることにしました。

　

陽介と私は日本の中華レストランの感覚で、飲み物以外に三品ほど注文しました。

料理が出てきてびっくりしたのは、一品の量がおおよそ日本の二～三倍くらいあったのです。

隣のテーブルを見ると、体の大きな黒人の親子が両親と十二～三歳くらいの子供二人と計四人で私たちの三倍くらいの料理を普通に平らげているのを見て、アメリカ人の旺盛な食欲に圧倒されたものです。

カリフォルニアの食習慣として、レストランで食べ切れなかった料理は、テイクアウト用の紙のボックスに詰め替えてもらって持ち帰りができるのです。

私たちの食べ切れなかった料理も勿論持ち帰って、翌日いっぱいかかってやっと平らげました。