南カリフォルニアのオレンジカウンティは、地中海性気候のため、一年中温暖で雨もめったに降りません。
たまに雨が降ると、近所の子供たちはビデオカメラを持って玄関先から、落ちてくる雨を珍しそうに撮影しているくらいです。それに加えて、蚊もゴキブリもいないし、私にとっては何よりも春先の花粉症がないことがこの世の楽園、まさに天国でした。
サンタモニカの南にあるベニスビーチには、世界に名高いゴールドジムがあります。
かの有名なミスターオリンピアを七回獲得したボディビルダーのアーノルド・シュワルツネッガーなど数多くのミスターオリンピアを輩出している伝説のジムです。
アーノルド・シュワルツネッガーと同時期にボディビルの世界で活躍していた、イタリアのサルディーニャ島出身のフランコ・コロンボという選手もこのジムに所属していました。
百六十五センチメートル、八十三キログラムという小柄な体ながら、デッドリフトでは、現役時代の小錦の体重以上の重さを軽々と持ち上げた男です。
一九七五年のミスターオリンピアでは、軽量級でチャンピオンとなり、あのシュワルツネッガーとオーバーオールで総合チャンピオンを争いました。
彼はシルベスター・スタローンが『ロッキー』の映画を作るに当たり、専属トレーナーとしてあの肉体美を作り上げるのにも貢献しました。
その彼が、『パンピング・アイアン』という映画で、こんなことを言っています。
「僕が育ったイタリアのサルディーニャ島では、カリフォルニアというと天国という意味なんだ。僕が今度カリフォルニアに行くと言ったら、みんなが、お前は天国に行くのか?と聞いてきたんだ」
まさにカリフォルニアは天国そのものなのです。