1 外資系でよく見かける社員
まず自分で考えてみる社員
外資系の社員の多くは、本社の社員であっても支店の社員であっても、指示や命令、通達などの内容をまず自分で考えてみます。
そして、例えば自分がいいと思った方法と非常に違う内容を指示された場合には、上司を通じて本社にそれを伝える、営業であれば本社が指示した方法だけでなく、自分がもっともいいと思った方法も試してみる、といった行動を取ります。
よく言えば柔軟性や自主性がありますが、本社から支店の末端まで一枚岩、金太郎飴のようになることは外資系では稀でしょう。
同業他社の何が気になるか
ビジネスパーソンであれば、業種を問わず同業他社つまり競争相手の動向は気になります。この気になり方が外資系と日本の会社では少し違います。
まず外資系ですが、マネジメントや経営戦略を担当する社員は、競争相手が何をしているか、その結果はどうかなどもさることながら、競争相手が何をしていないか、何をしそうにないか、ということにも関心を持ちます。販売する商品や提供するサービスの動向などは特にそうです。
というのは、多くの外資系においては、基本的な戦略の一つがディファレンシエーション(Differentiation、差別化)だからです。
日本の会社がやっていること、やろうとしていることをフォローするのではなく、日本の会社とは違ったこと、日本の会社がやっていないこと、やろうとしていないことをするのが外資系の戦略、つまり基本的にはニッチ戦略です。
これは考えてみれば当然のことです。大手の日本の会社がマーケットを押さえているところに後から参入し、先行する日本の会社と同じようなことをすれば、業績を伸ばすことができないのはしごく当然のことです。
ですから、社員はサムシング・ニュー、サムシング・ディファレント(Something New, Something Different)、何か新しいこと、何か他と違うことをいつも考えているのです。
けれどもすべてがうまくいくわけではありません。予測したほど売れないこともあります。反対に何年かたつうちに社会の状況が変わり、大きく売り上げを伸ばす商品もあります。売り上げが大きくなると、同じマーケットに日本の大手の会社が参入することがあります。こんな場合、物量作戦では外資系は対抗することができません。