第1章 自分の特徴は自分でもなかなか把握できない
新たな環境のなかで小さな気づきが増える
M君との対話(ゲノム・遺伝子・行動遺伝学)
M君:おじいちゃん、子どものときの性格って、大人になってもそのまま変わらないのかな。いったい、大人になるとどうなるんだろう。
おじいちゃん :おじいちゃんも65年以上生きてきたけれど、大人になったからといって、自分の性格が正しくつかめているのかどうか、とっても疑問だね。
ふだんの生活のなかで、なんとなくこんな特徴はあるかなと思うことはあるけれど、厳しい環境に身を置くことで、初めて気づくこともあった。それも、40歳近くになってからのことだから、自分のことを知るというのは時間のかかることかもしれないね。
それに、自分のことをもっともっと知ろうという気持ちを強く持っていないと、難しいかもしれないね。M君もこれからいろいろな経験をすることで、自分の新たな性格の発見があるかもしれないよ。
M君:新たな発見があるの? 自分のことなのにとても不思議だね。
おじいちゃん:そうだね、自分のことだからよけいにわかりにくいこともあるかもしれないね。発見というより、内部に隠れていたものが表に出てくるといったほうがよいかもしれないな。
M君:それは、どういうことなの? どうしたらそんなことが起きるの?
おじいちゃん:少し話は難しくなるけれど、遺伝子という言葉を聞いたことがあるかな。
M君:遺伝子? 聞いたことないよ。