とある雪原の丘
ふつふつと、抑え切れないある感情が、少女の中から湧き出ようとしていた。
「殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。殺す。」
憎しみ。
家族も奪われ、故郷も奪われ、帰る居場所がなくなった少女に残ったものは・・・・・・・・・魔物に対する強い憎悪の感情だけであった。
「・・・・・・・・・・・」
正気を失い、復讐心に囚われてしまった少女は、虚ろな瞳をさまよわせて、歩き始めた。
雪原への道
「昨日に引き続き、今日も魔物の討伐か。」
「まぁまぁ、そんなこと言わずにさ、張り切っていこうよ。」
「お前の元気、ちょっと欲しいんだが。」
「僕達2人のためだもん、元気なんて、いくらでも出てくるよ。」
「2人のため?」
「・・・・・・・・・・・・・もしかして、忘れてる?」
「わ、悪い。なんのことだかさっぱり。」
ユウは、わかりやすく頬を膨らませた。
「ふ〜〜〜ん。シン、覚えてないんだぁ。」
「な、なんだよほんとうに。」
「いいよ別に、あんな昔のことなんて、いつまでも覚えてる方がおかしいもん。」
「・・・・・・・昔? おい、はっきり言ってくれ、わからねぇぞ。」
「・・・・・・・・・・・」
「聞いてるのか? ユウ。」
「シン。」
「今度はなんだよ?」
「・・・・・・・・・・見て。」
ユウの視線の先を追ってみると、シンは一瞬、自分の目を疑った。
「「・・・・・・・・・・・」」
あまりにも現実離れした「それ」を見て、2人は言葉につまってしまう。