勇者2人の最強パーティー

「なぁ、ユウ。」

「どうしたの?」

「スゲェ、いい天気だよなぁ。」

隣に寝そべっている幼馴染にそう言って、さっきからずっと見上げている空をシンは見つめる。そこには、呆れるほど雲がひとつもない青空が広がっており、ほど良い日光が自分達に降り注いできていた。

「そうだね。」

「こんな日は町に出て、2人でいっぱい遊びたいよなぁ。」

「そうだね。」

「なぁ。」

「うん?」

「なんで俺達は……今から王様に会いに行かなきゃならないんだ?」

「仕方ないでしょ? 最近、また魔物の活動が活発になってきて、被害がたくさん増えてるんだからさ。」

「この前、国をひとつ救ったばかりだと思うんだが?」

「こればかりはね。」

「そういうもんなのか?」

「そういうもんだよ。」

「そうか。」

「僕もシンと一緒に遊びたかったよ。」

「…………」

「さてと、それじゃあそろそろ行かないとね。」

「…………」

「頼りにしてるよ、勇者様。」

「…………おう。」

シンは、どこか不満げに言葉を返すのだった。

王城内(王の間)

「よくぞ来てくれた! 勇者シン! そしてその付き人のユウよ!」

王様は2人を城に呼び出すと、手慣れたように話し始めた。

「お前達も気づいているかもしれないが、魔物による被害がまた増え始めておる!」

王様は言葉を続ける。

「とくに隣国の都市周辺の被害は甚大なものだ! ここで見捨ててしまうと、『救国の勇者』を抱える我が国の名が廃れるというもの!」

次の瞬間。王様の表情に醜悪なものが宿るのを、シンとユウは見逃さなかった。

「これで隣国の奴らに恩を売ってやれば、我が国の評判と名声がさらに上がり、私の……国の未来の安泰も確固たるものになるだろう!」

品のない笑顔を浮かべながら2人を見下すと、王様は最後にこう言い放った。

「くれぐれも失敗などせず、しっかりと頼むぞ! 2人とも!」