本書は最初に私が想定していた壮年期の人だけでなく、若年期、老年期の人も含め、すべての人がご機嫌な人生を送るために必要な指針になりうるものです。
三つの「Life」を考える
健康・お金・生き甲斐を同時に得ることは、幸せな人生を送るための鍵となる
生老病死(しょうろうびょうし)は、生まれること、老いること、病むこと、死ぬことを指します。仏教の世界では、この四つは避けることのできない根源的な苦しみとされます。
死は避けても必ず目の前に来ます。死を見つめたときに、充実した生があるという生老病死の教えを実感することにもなるのです。生まれた以上死ぬことは避けることはできませんが、老いることと病むことは避けられないのでしょうか。人の体を構成する細胞の老化が避けられないことは後述しますが、生物の寿命と心臓の心拍数との間に相関があるようです。
哺乳類では、心拍が速い動物ほど寿命が短いのです。また、小型動物ほど心拍が速く、大型動物ほど心拍が遅いという事実もあります。
人では、速い心拍と心血管疾患による死亡や心臓突然死との間に強い相関がありますので、加齢に伴う心拍数の上昇を抑えることは、加齢に抵抗するヒントになります。
和泉徹名誉教授(北里大学)によると、人の寿命は病気にならなければ心臓の寿命に依存して決まり、科学的には120歳まで生きられるとのことです(「にいがたしらぎく45号」[新潟白菊会、新潟大学医学部・歯学部、2017年]より引用)。
実際に泉重千代氏は120歳まで生きたとされ、ギネス認定もされていました。病むことについても、日々健康に留意することで避けることができれば、科学的には120歳まで生きることは不可能ではないようです。