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2 医学の分かれ道

専門領域によって、仕事のしやすさは多少違いもあるでしょう。その専門分野でみると、女性医師の占める割合が多いのは、産婦人科、皮膚科、眼科などで、すでに50%を超えています。他方女性医師が少ないのは、整形外科、泌尿器科、心臓外科などです。専門分野の選択については、後述したいと思います。

いずれにせよ、女性に比較的向いた職業であること、そして自分にあった専門分野を選択することができる点を、ここで強調しておきます。また入学選抜において、女性にとって不利なことはなく、むしろ女性の方が有利な点もあるように思います。

前述した入学試験の面接でも、概して女性の方がはきはきしていて、好感を持たれることも多いでしょう。入学後医学専門学習においても、女性に不利な点は何もありません。さらにはどの職種でも同じでしょうが、将来家庭をもっている人にとって、仕事のしやすい職場作りが進んでいます。産休や育休も取りやすくなっています。

また私たちの所属する放射線科のように、仕事をする時間をある程度自分で決められ、家庭と仕事の両立がしやすい専門分野もあります。今後そのような仕事のやり方もどんどん増えてきています。

少し前になりますが、とある私立医大で、女性に対して不利となる配点をしていたことが発覚し、大問題となりました。大学としては、男性医師をより多く作りたいとの意向だったのでしょうか。入学で男女差をつけるのは、とんでもないことです。マスコミ上でもひどい差別だ、と非難されていました。

私が医学部に入った時には、同級生で女性は十人足らずでした。でも彼女らの在籍のおかげで、教室や実習などは本当に明るくなりました。男性の皆は心から感謝していました。私たちの学年は学園紛争の直後だったので、それまでの先輩たちの学年では、卒業アルバムすら作っていませんでした。私たちの強い要望で、卒業する直前に皆で卒業アルバムを作ろうと決断しました。そして皆で学生時代の写真などを集め、苦労して作成しました。

その折に女性の皆が協力し、奔走してくれたことを思い起こします。その同級生の女性の中から心臓外科や脳外科を選んで、一人前の医師となって、国内外で活躍する人もいました。当時外科系を選ぶ女性が少なく、手術室に女性用の更衣室がない、などの問題も耳にしました。でもそのような職場環境の課題は、すぐに改善されて女性医師の働きやすい環境に、次々に変わっていきます。

繰り返しになりますが、医学部入学についても、医学部の学習も、さらには医師としての職業としても、女性にとって勉学や仕事のしやすい環境であることを、強調しておきます。これらの点を十分考慮して、医学部をそして専門分野を選択してもらいたいものです。

この章では、医学の道を選択する上での、種々な要点や対策について、書いてみました。入学まではなかなかハードな道かもしれません。でもそれだけに入学できると、魅力あふれる学習と、医学独自の魅力あふれる道が待っています。これから入学後のことを記載しましょう。