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第四章 風が吹いて

一粒の涙

未来の多くの時間を持ち

大きな大志を抱く君に

この年老いた者は別れを言おう

お互いの違いを認めあえれば

友情は存在すると思っていた

共に語り 飲み 助け合い

もう何年も友人として農業にいそしんだ

君はちょっと偏屈で時々人と衝突する

多くない言葉の中の愚痴を察する

労働の疲れを癒す「お疲れさん 乾杯」

とりとめもない話の中に

お互いのねぎらいや癒しがあったはず

何があったのかなー

近くにいるのに無言の君

一日一日 見えない心がふくれていく

常識だの 世間ではだの そんな不確かなもので

友情というものが一瞬に消え去るものだろうか

変わらないのは友への思い

変わったのは君の不透明な心

私から友への別れを言おう

きっと寂しくなる 何回も寂しくなる

涙も出る 何回も出る

だから君よ

一粒の涙を流しておくれ