人事異動は教育委員会の仕事だが、小学校も中学校も学校長の希望を一応は聞いてくれる。必ずしも実現するかどうかはわからないが、校長の意思を伝えることはできる。 

ただ、中学校はすべての教科について必要な人数を確保しなければならないため、異動内容が複雑になる。そこで、地域によっては、あらかじめ校長会の名前で調整し、一括して教育委員会に具申ができるところもある。

そういうところでは、教科の偏りをなくし、誰をどの学校に異動させるのがいいか、全体のバランスを見ながら教育委員会への具申内容を決めることになる。

しかし、中学校には、いわゆる〝問題教員〟が一定数存在する(小学校にもいるが)。校長は誰もそういった教員を取りたがらない。明らかに指導力が不足している教員も同様である。

後の章でも述べるが、中学校では、いじめや自傷行為、突然の行方不明など、生徒の命に関わる案件がいつ起こるかわからない。学校の最高責任者である校長としては、せめて教員だけでも〝問題〟を起こさない人材を確保したいというのが本音である。

同時に自分の学校の問題教員をどうやって他の学校に異動させるかを考えている。現場の教員もそういう校長の方が頼りになると受け止める。

そこで重要なのが〝情報〟である。

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