序章
2013年9月にイアン・リプキン博士が奇妙な公開電話会議を行った。彼はその前年にレトロウイルスと慢性疲労症候群との関係についての私たちの研究を虚偽だと決めつけていた。彼はスタンフォード大学のホセ・モントーヤ博士と研究を続けていた。
彼の研究対象は私たちがサイエンス誌に発表した研究で使った患者群とほぼ同じであったが(しかしながら2012年にアメリカ国立アレルギー・感染症研究所の所長トニー・ファウチが研究で使った患者群は排除していた)、次のように発表した。
私たちはサンプルとして選んだ患者の85パーセントにレトロウイルスを発見した。再説するが、この時点でこの事実が臨床的に重要であるか否かを決めるのは非常に困難である。それに慢性疲労症候群におけるレトロウイルスに関する過去の経験を前提にするとモントーヤ教授のサンプルから考えて、私も彼も病気に関係ないと結論したということを明確に表明したい。
理解できるだろうか? 彼はサンプルに選んだ病気の患者の85パーセントにレトロウイルスを発見し、たった6パーセントの照査基準で、それが何を意味するか考えられないと言っている。
さらに驚くべきことだが、彼らはこれ以上研究するつもりはないというのだ。
これが現在の言論統制された「危険な」科学という悪夢の実態である。適切な研究が禁止され、言論統制されているため、データが存在しないのだ。