序章
ワクチンによる免疫刺激療法そのものが、免疫システムが統制不能になるほど、エイズウイルスを活性化させ、増殖させる結果、エイズによって死に至ることになる。ここでレトロウイルスの中でもエイズウイルスについて、重要なポイントを指摘しておきたい。1980年代にエイズに感染していると診断された人にとって、それは死刑宣告も同然だった。
ただ、生きながらえた人もいて、彼らには特殊な遺伝子の特徴があり、私たちはそれを「エリートコントローラー」と呼んだ。大抵のレトロウイルスは、エイズのようにひどい殺し方はしない。通常は免疫不全になって、ガンなどを含む様々な病気を引き起こすことになる。これをくい止める必要があるわけだ。
このウイルスは人類の活動力とまっとうな生活を奪っていき、何年もの苦痛を与えたあげくに寛大にも死をもたらすものであり、私たちはそれを阻止しなければならない。私たちはこの慢性疲労症候群の系列の中でいくつかの病気のパターンに興味を持った。もしマウス白血病ウイルスがエイズウイルスと同じように活動するなら、母親から子どもへとうつっていくはずだ。
研究の当初から感染した母親から自閉症の子どもが生まれることを注目し、その子どもの17名をマウス白血病ウイルスを持っているかテストした。自閉症とは幼少期の慢性疲労症候群ではないか? 発育過程においては、話すこと、人と交わること、思考力を形成することなど神経コネクションの発育に大量のエネルギーが必要とされるのだ。
自閉症の子どもで17名をテストした結果、14名にマウス白血病ウイルスが存在することが判明した。この発見はワクチン接種後に親が体験し、報告する自閉症的退化症状に一致するので、私たちは広く議論されるべきだと考えた。特に輸血でエイズに感染した子ども、ライアン・ホワイトの事例が教訓になった。
当時、私たちはマウス白血病ウイルスがワクチン製造に使われた動物の細胞に起因するという可能性までは考えていなかった。しかし、自閉症の子どもを持つ家族をサポートする活動を続け、ワクチンに対する彼らの不信感に触れるというだけであっても、科学者仲間に対する裏切りのような感じだった。
正直なところ、私たちの研究の意味するところを無視しようとしたこともあった。しかし、私たちはその問題からは逃げなかった。フランクと私はエイズを取り巻く独断的主張がもたらした結果としての殺戮を直接見てきたのだ。
私たちは何百万人もの人を苦しめ、死なせたことを二度と再現してはならないと決意した。あれは私たちの通常のやり方ではないし、決してまともな科学と言えるものではない。