その時王女様お付きの老女が傍に寄って来て、「王女様は血を綺麗に流しました。その際に確認しましたが幸い軽い打ち身以外の傷は見当たりません。王女様は怯えと疲れで、一人が付き添ってお休みになられました」
「伺うところによると王子様も大きな怪我が無く王女様の様子を聞くとホッとしてお休みになられたそうです」
付き添いの老女はそう伝えると又王女の部屋の方へ戻って行った。
副大臣はそれを聞いて本当にホッとした顔をして椅子に座り直した。そして、改めて「チーフ! どうだ具合は?」と聞いた。
チーフは治療と痛み止めの影響で目の焦点を必死に合わせようとしながら、「少し痛みますが大丈夫です」と応えた。
ハッサムは残したサドルの事が気になると共に俺が足で蹴飛ばした男が気になりあの時の状態を思い出していた。
カラムは、「明朝直ぐに若い男の状況を何としても掴むように! 併せてサドルの状況も警察・病院へ手を回してしっかり掴んでくれ! 詳しい状況が分かるまで、今の話は一切他言しないようにきつく申し付ける。以上! 直ぐかかれ!」
座り直し副大臣は目をつぶって思った。今日は何という日なんだろう、本当に万が一になっていたらと思うと血の気が引く思いがし、少し震えがきた。
王子・王女が無事で本当に良かった、そう思った途端何故か目が潤んできた。