俳句・短歌 歌集 自然 2023.04.13 歌集「緑葉の里」より三首 歌集 緑葉の里 【第10回】 上條 草雨 大いなる自然と文明遺産に抱かれて この地球(ほし)に住まう この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 連日れんじつの雨天の中に佇むと緑草りよくそう和なごみ足元照らす 名の知れぬ赤紫あかむらさきの柴しばの花そっと近付く躑躅つつじに非あらず 時が経ち太陽系が消滅し伝承化でんしようかして宇宙に居住きよじゆう
エッセイ 『逆境のトリセツ[パラリンピック特集]』 【新連載】 谷口 正典,益村 泉月珠 右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。 失うのは生命か右足か究極の選択まだ寒さが残る三月。午前二時。ピンポーン。「こんな時間に誰?」上着を羽織りながら玄関を開けた。そこに立っていたのは、背筋を伸ばした警察官だった。「正典さんのご家族の方ですか」「正典の母です。どうかしたんですか?」「正典さんが、国道二号線でトラックとの事故に遭いまして……」「え……、正典は無事ですか?」「現在、病院に搬送中です」動転した母は、兄と一緒に俺が運ばれた病院…
小説 『海の中の記憶』 【第2回】 中原 信 米文学ゼミでサリンジャーを選んだ私に先輩が「知ったかぶりの知識で書かないでほしい」と…私のミーハー的な態度は見抜かれていた 【前回記事を読む】大学を卒業したものの、志望通りに就職先が決まらなかった私は、レストランでアルバイトをしながら就職活動に取り組んでいた。酎ハイをお代わりしたリカコさんが、酔った勢いで後輩の私に対し、〝指導〟と〝激励〟の言葉を大袈裟に語っていると思ったが、それは違っていた。「知ったかぶりの知識で、サリンジャー班の卒論は書かないでほしい」リカコさんの強い〝要請〟には、テキストを深く読み込んだ者だけが…