【前回の記事を読む】「友情を保つ秘訣は…」借金をしに来た友人にすべき対応とは?

下駄屋の法則

下駄屋が靴屋になったのではない。
靴屋は他から来た新しい人たちが始めた。

下駄屋の法則 解説

就職した総合商社では先輩社員のKさんから仕事を教わった。

Kさんは博識で、ローマ帝国のお話やブラックホールのお話は、それらをテーマにした本よりおもしろく、分かりやすかった。そのKさんが、私たちの取引先だった靴メーカーさんを訪問した帰りにおっしゃったのがこの言葉だ。

「靴も下駄も足に履くものだよね? でも、今日お邪魔した会社も他の靴メーカーさんも下駄屋さんだった訳ではないんだ。下駄屋さんは多分、下駄屋さんのまま廃業されたところが多いと思う。どうして下駄屋さんは靴屋さんになれなかったんだろうね?」

変化することの難しさをおっしゃったのだと思うが、世の中から消えていった商品や会社に気づくたびにこの言葉を思い出す。

安心の法則

安心して生活できる社会に、と政治家は言うが、
私は安心したら働かなくなるだろう。

安心の法則 解説

「安心して生活できる社会に」という政治家の発言が心に響くのは、何がしかの不安をみんな抱いているからだ。私にも不安はあった。

結婚して子供ができてからは、万一、私に何かあった場合のことを心配したし、今は人生100年といわれるなか、はたして生活に必要なお金を確保し続けられるのだろうかと不安に思っている。

しかし、私の場合はそういう不安が労働意欲を掻き立ててきたように思うし、多分、これからも将来への不安が働く原動力になるだろう。もし、私が古代ローマ帝国の「パンとサーカス」の時代に生まれていたとすると、生涯、怠け者で過ごしたに違いない。