第二章 相続不動産の基本を知る

不動産の種類とその評価について

相続税評価額との関係

一、土地の評価

相続財産の土地の評価は、毎年決定される相続路線価を指標とされます。その相続路線価は公示価格と連動しています。前述の通り、公示価格は不動産鑑定士が毎年査定しています。

二、建物の評価

建物の固定資産税評価は、不動産鑑定士が査定するのではなく各地方公共団体の資産税課の職員がマニュアルを見ながら査定しています。固定資産税は各地方自治体の最大の収益源であるため、不動産鑑定士よりも各自治体が決定する方が都合がよいのかもしれません。

米国の固定資産税評価の例

米国では、地価公示制度はありません。しかし固定資産税は存在します。各州の税務署に所属する不動産鑑定事務所が、土地と建物を適正に時価評価して、固定資産税を請求します。米国の住宅地の場合、土地よりも建物の価格が高い場合が多いです。

人口増加や、需要の強い地域においては、不動産の鑑定評価の収益価格も上昇するので、最終的な固定資産税の基礎となる鑑定評価額も上昇する傾向にあります。日本の建物の課税評価額が経過年数と共に下がるのとは様相を異にします。

相続税に関する評価について

相続税に関する評価は、基本的に土地の路線価と、建物の固定資産税評価額によって決められます。ただ、そうすることで前述の不動産の最有効使用を全く無視した基準で査定されてしまいます。

つまり、不動産の本来の経済価値と、相続税の評価額が大きく乖離してしまう事態も発生するのです。そこで争いが起こってしまうケースもあるので要注意です。(第四章にその例を掲載しましたので参照ください)

まとめ

不動産の価格は、種類別に分けたうえで、最有効使用を判定し、試算価格を複数求めたうえで、最終的な価格を決定していきます。しかし、相続税の課税評価額は異なった基準で査定されます。つまり不動産の鑑定評価額と相続不動産の評価額は異なることがあるということです。評価額が大きく異なる場合は、自己防衛のためにも、鑑定評価書を作っておくことをお勧めします。