週末 ほとんど試合の日々

ファンがいることに気がついた

心身不調で判断力に問題ありと思ったので、Hコーチに主審を代わってもらって、四審をした日でした。

四審とは、直接試合を審判することはありませんが、選手交代の手続きをするなど、円滑に試合を運営するためにいなくてはならない裏方的な役割をする審判のことで、基本的にピッチの外に待機してゲームを見ます。

おかんは自分の状態が良くなく、うちのチームもその日勝つことができず、どんよりとした気持ちを抱えて四審のイスにつきました。試合をするチームの一つは、いままで何回かおかんが主審を担当したことがあるチームで、スタメンの顔とプレースタイルを覚えている馴染みのあるチームです。

その日の主審のHコーチが選手団を率いてピッチに入っていくとき、そのチームの10番の子が、私が四審にいるのを見て、(あれっ?)って顔をしていました。

(今日は、アラタの母ちゃん主審しないの?)という顔でした。

10番の子は、息子のサッカー教室の友だちなのです。

その後、試合が始まって、本部の方向にボールが飛んでいったときに、本部席のほうを見ると、いつも私に審判指導をしてくれるアセッサー(評価する人)的立場のYさんがこちらを見ていて、目が合ってしまいました。

あぁ、今日も手ぐすね引いて指導してくださろうとしていたのだな。今日は主審できなくてゴメンナサイと勝手に思いました。買いかぶりすぎかもしれませんね。

でも、Yさんは、いる日は私が審判をした後はいつも指導してくれますので。ただでさえ審判不足のところに、女子審判は希少生物的立場なので、かわいがってもらえるのです。

四審をしていた試合が終わった頃には小雨が上がり、太陽が照り付けてきてじわじわ暑くなりました。

Hコーチにお礼を言って、朦朧としながら帰り支度をして、ふら~っと会場をあとにする道すがら、いくつかの他チームの選手たちが「こんにちは~!」と元気良く挨拶して、通り過ぎていきました。大人に促されてではなく、自然に……。

調子が良くなかった私ですが、少年たちの声に、

(あぁ、今日の私はダメだったけど、でもこうして挨拶されて幸せだな。いろんな子に覚えてもらったのだな)と思いました。

そう言えば、おかんがサッカー関係の初対面のママさんに、

「はじめまして。私はエスフォルソFCの山です。一応、コーチです。よろしくお願いします」

と挨拶すると、

「いつも審判されているので、知っていました」

と言われたりします。

(あぁ、そうか。私にはファンがいるんだな)

ファンといっても、スーパースターに対するファンではなくて、おかんの審判は女子で珍しいから人目を引き観察の対象になるのだなと。

そして、プレイヤーでおかんを覚えてくれている子がけっこういるのは、フェアな判定を心掛けて、グリーンカードで選手たちの良さ・輝きを顕在化させようとしている姿勢を見てくれているのだなと、思いました。

落ち込んでいた日曜日でしたが、四審をやって、いつもと違った視点で試合にかかわって、気づきがありました。

まだ、いつものように男前なおかんコーチに戻っていませんが、少しずつ元気を取り戻せていければと思います。きっと、何やかんやいって、おかんの審判を楽しみにしている人がいると思うから。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『グリーンカード “おかんコーチ”のサッカーと審判日記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。