プロローグ


2017年の年末。その日、私は夫と数ヵ月ぶりぐらいにデートをしました。映画を観に行って、その後、ビルの高層階の眺めの良いレストランにて遅いランチ。二人でゆっくりと昼食を食べられるのは、年に数えるほどです。


平日は仕事、土日は私がサッカー三昧で昼間に家にいないので、こうしてゆっくり二人で過ごすのはそれなりに貴重な時間です。


そのとき、2017年を振り返っていました。その年の夫のあまりにも激しい企業戦士ぶりに、私は夫の健康を心配しつつも、


「せめて60歳までは会社にしがみつきつつ、自分の仕事を人にふって、もっと自分自身が休めるようにしたほうが良い」


と夫に虫の良いことを言っていました。さらに、


「人に仕事をふることをルーチン化できるよう仕事内容をマニュアルにして、職場で活用すれば? あわよくばそれを出版して、伸宏さんの名刺代わりに使えるようにすればいいんじゃない? 大丈夫だよ」


昼間っから酒を飲んで口が滑らかになっていたんですね。言いたいことをいろいろ言っちゃいました。


私が機嫌良く手酌でワインを飲んでいると、夫の逆襲が始まりました。


「いや~、本を出すならみっちゃんのほうが良いでしょう。みっちゃんのほうがネタ持っているでしょ。サッカー経験がないところから、サッカー審判になって、コーチになって、サッカーと女性、子育てとサッカー、ほかのコーチとの兼ね合い、いくらでもネタはある。僕が書くよりそのほうが面白いよ」


と倍返しで言い返されました。


何も言えなかった私です。でも、真面目に本を出すことを考えました。しかし、書きおろしは絶対無理なので、ブログで日々のことを綴りつつ、原稿に仕立てていくことにしたのです。


我が家は4人家族ですが、翌年は息子が6年生です。息子もサッカーをやっていて、ジュニアサッカーの集大成の年。私のこと、子どものこと、サッカーのこと、ときどき夫のこと、ブログにいろいろ書いていこうと思いました。


そうして書き綴ったブログをまとめて生まれたのがこの本です。
この本は、ジュニアサッカーにかかわる人たち、特にママさんに読んでもらいたいと思っています。


サッカーは、勝敗があるチームスポーツです。子どもは軽い気持ちでサッカーを始めますが、早々に競争という試練にさらされます。この試練に、親は自ずと巻き込まれ、悩みます。


子どもへの接し方、人間関係、我が子の得意・不得意、好き嫌いや、才能への投資。子どもに捧げる自分自身の時間。


この本には、私が息子のサッカーを通して、悩み、もがいている過程を包み隠さず書きました。そして、抑えきれない好奇心で自らサッカーフィールドに入っていった結果、最後にはサッカーの虜(とりこ)になってしまった結末が待ち受けています。


誰かがこの本を読み、くすっと笑って、子どもたちの最大のサポーターになる一助になれば、私は嬉しく思います。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『グリーンカード “おかんコーチ”のサッカーと審判日記』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。