それは、不思議な出会いだった。いつものコンビニで、いつものビールとつまみと、お気に入りのチョコレートを買う。
店を出て家路へ向かうあたしの視界に、きょろきょろしながら歩く不思議な人が入って来た。
スローペースで歩くその人と比べ、いつものハイペースで歩くあたしはあっという間に追いついてしまう。
なんとなく少し気になって顔を覗き見ると、何かを探している様子のおじいさんだった。
あたしは、声をかけるか迷った。とは言え、困った人を見過ごすのは嫌だ。困った時はお互い様だ。
「あの……、どうかしたんですか?」
少し遠慮がちに声をかける。すると、彼はかなり驚いたのか、振り向いて大きく目を見開いて固まった。
彼は何も言わずに、ひたすら固まっている。無言で見つめ合うあたしたち。
「お前さん……、ワシが見えるのかね……?」
彼は、ようやく声を出したかと思うと、他の人ではないことを確認するようにあたりをきょろきょろと見渡した。
「え? 当たり前じゃないですか! 幽霊じゃあるまいし!」
思わぬ返答に思わず笑って返すと、彼はちょっぴり困ったような笑みを浮かべながら、
「そうか……。まぁ、そうじゃが……。いや、しかし、ちゃんと呪文は合っていたはずなのじゃがなぁ……。見えるタイプの子かのう……」
と、何やら意味不明なことを呟き出した。
「おじいさんは生身の人間でしょう? それなら、見えないわけがないじゃない。面白いことを言うのね。ところで、さっきから何をしているの?」
すると、彼は黙って俯き、考え込んだ。彼は、十秒ほど考えてからおもむろに口を開き、こう告げた。
「実は、ピースを探しておってのう……。真ん中に星が瞬くピースでの。それがないと困るんじゃ。このあたりに落ちているはずなんじゃがなぁ……」
「ピースって、パズルのピース?」
「まぁ、そのようなものかの」
「目印は、瞬く星なのね?」
「左様。瞬く星なんじゃが……」
そう言うと、彼は眉尻を下げて苦笑した。