Chapter・1 運命の始まりのメロディー

さて。探すとは言ったものの、彼の言う通りなかなかピースが見つからない。瞬く星が目印と言っていたが、その瞬く星の光が見つけられないのだ。あっという間に、一時間が経っていた。何か良い方法はないものか……。

「おじいさん! ひょっとして、そのピースって、光を反射したりしない?」

「うむ……。反射するかもしれんし、しないかもしれん」

彼は、そう言って困った顔をした。 よくはわからないが、試す価値はあるのかもしれない。スマートフォンを取り出してライトをつけ、あたりを照らしてみる。すると、コンビニのそばで何かが光った。慌てて近寄ってみた。が、それは鏡のような膜がついたガラスの欠片だった。なんとも紛らわしいものである。その後、あたしは何度もピース以外のものの反射に騙され続けた。

あれから、更に一時間は探しただろうか。もうなかば諦めかけたその時のことだった。コンビニの光が届くギリギリのところで、光の反射を見つけた。藁にもすがる思いで見に行くと、それはパズルのピースの形をした透明なものだった。よく見ると、星が瞬いているような模様がある。

「おじいさん! これじゃない!?」

あたしは、慌ててピースを拾って彼に駆け寄る。

「おお、そうじゃこれじゃ! これを探しておったんじゃ! ありがとう! ありがとう! お嬢さんのお陰で、ピースの作り直しは避けられるわい!」

そう言って、彼は顔を綻ばせた。

「何かお礼をさせてくれまいか、お嬢さん」

今更ながら呼ばれ方に照れつつも、このピースがどんなパズルになるのかが気になった。

「お礼かぁ……。それじゃあ、そのパズルを見せてよ! どんなパズルか見てみたい!」

そう言うと、おじいさんは困ったように眉尻をまた下げる。

「さて、困ったもんじゃのう……。“空”について興味を持つとはのう……」

「その“空”? とか言うパズルを見せてくれたら、それで良いの!」

あたしはそう言って、にっこり笑ってみせた。彼は、少し考え込んだ。そして、「まぁ、ワシが見える子じゃし、ひょっとしたらひょっとするかもしれんしのう……。良かろう。ついて来なされ」と言うと、見かけた時のふらふらした足どりはどこへ行ったのやら。さっさと歩き始めてしまった。

「あ! ちょっと! 置いていかないでよ!」

慌てて彼を追いかける。 ふと空を見上げると、うっすら星が瞬いていた。