次に、リーダーシップについて確認していきましょう。リーダーシップは「指導者としての地位」あるいは「指導力」と、そしてリーダーは「指導者、統率者」と訳されます。マネジャーが権限のある人や組織から任命されるのに対し、リーダーは部下やフォロワーから選ばれるという点で両者は異なります。

田坂氏は、部下やフォロワーが一人の人物に「この人と一緒に仕事をしたい」、「この人と共に何かを成し遂げたい」、「この人と共に成長していきたい」と思うとき、リーダーが生まれるとしています。この人物が示す特性は、まさしくサーバント・リーダーといえるでしょう。

他方、田坂氏はあえてマネジャーとリーダーの役割を区別していません。3つの心のマネジメントは、マネジャーとリーダーの双方に必要な役割だとし、すべてのマネジャーが「カウンセラー」になる時代がくると予言しています。

AIが浸透し雇用の在り方も多様化するデジタル社会においては、マネジメントの概念を再定義する必要がありそうです。これまでリーダーの定義は様々に述べられており、必要に応じてここでもそのいくつかを紹介します。どの定義も指し示すリーダー像は、グリーンリーフが示したサーバント・リーダーの定義の中に包括することができるでしょう。

具体的な対話事例も紹介しますが、効果的なリーダーシップを示したかどうかは、グリーンリーフの述べた「奉仕を受ける人たちが、人として成長しているか。奉仕を受けている間に、より健康的に、聡明に、自由に、自主的になり、自らもサーバントになる可能性が高まっているか」という問いで確認することができるでしょう。