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第2章 リーダーシップと動機づけ面接を実装する

第1節 リーダーシップと動機づけ面接の実践的理解

本章では、組織におけるリーダーシップに、動機づけ面接がどのように貢献できるかを考察してみたいと思います。前著『リーダーのための動機づけ面接』では、リーダーを「誰かを支えるために活動する人」として、その厳密な定義を行いませんでした。取り上げられた分野も、医療、産業、教育など、広範に及びました。

一方、本書を手にしていただいた皆様は、おそらく企業や組織で活躍されている方々でしょう。そこで、まずリーダーシップとは何かという点を定義しておきたいと思います。

1 リーダーシップとは

リーダーの定義には様々なものがあります。例えばグロービス経営大学院MBA用語集では「リーダーシップとは、自己の理念や価値観に基づいて、魅力ある目標を設定し、また、その実現体制を構築し、人々の意欲を高め成長させながら、課題や障害を解決する行動26」と説明されています。

また、国分康孝は「リーダーシップとは、集団目標達成のために各メンバーが連帯感を持ちながら、自分の能力をフルに発揮できるように援助する能力である(1)」と述べています。いずれの定義にも共通するのは、組織の集団目標達成と、個人の成長の両者を達成するという点です。ここでは、いったん次のように定義しておきましょう。

「リーダーシップとは、組織において魅力ある目標を設定し、その目標達成のために組織の連帯感を高める一方で人々の意欲を高め、能力をフルに発揮させ、成長につなげることを援助する能力をいう」

では、リーダーは何をすればよいのか。この定義を分解すると3つの役割が見えてきます。

(1)目標を設定すること自分が所属する組織の存在意義は何か、何を達成しようとしているのかを、常に明確にしておくこと。また、組織の目標を常に明確に示すこと。

(2)組織の連帯感を保つこと。責任分担を明確に示す一方で、メンバーの感情交流に関心を持ち、各々の役割が適切に遂行されているか確認・調整を行うこと。

(3)個人の成長をサポートすることメンバー一人ひとりの興味・能力に応じた現実条件を提供できるよう配慮し、サポートすること。

このようにリーダーシップとリーダーの役割をひとまず定義したうえで、リーダーに求められる基本的態度について考察してみます。


(1)国分康孝:リーダーシップの心理学 講談社現代新書 1984