【前回の記事を読む】オードリー・タンも…「デジタル社会のリーダー」になれる人の特徴

第1章 これからの人材育成に動機づけ面接が持つ可能性

第1節 第四次産業革命時代に必要な素養

5 パラダイム転換されるマネジメントの概念

組織の中で「リーダーシップ」とあわせてよく語られるのが「マネジメント」です。ここでは、その違いについて確認しておきたいと思います。まず「マネジメント」は経営、管理と訳されます(注1)

マネジメントとはまさしく管理するのが職務で、その権限がある人や組織から任命される役割を管理職、マネジャーなどと呼びます。田坂広志氏は『能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」』(注2)で、組織的能力には、マネジメント力とリーダーシップ力があり、そのうちマネジメントの仕事については今後AIがその多くを代替していくと述べています。

そして俗にいうヒト、モノ、カネを管理する人事管理、資材管理、予算管理、さらに仕事の時間を管理する工程管理やプロジェクトの全体を管理するプロジェクト管理、これらの管理業務と呼ばれるすべてにAIの導入が始まっており、マネジメントに根本的なパラダイム転換が求められていると強調しています。

さらにこれからの人間に残された究極のマネジメントを「心のマネジメント」とし、その内容を3つにまとめています。

1 共感協働のマネジメント

部下やメンバーが、自発性や創造力、協調性や共感力を遺憾なく発揮し、互いに協力し合って優れた仕事を成し遂げられるようにすること

2 働きがいのマネジメント

部下やメンバーが、仕事に意味と意義を見出し、働きがいを感じられるようにすること

3 成長支援のマネジメント

部下やメンバーの不満や不安、迷いや悩みに真摯に耳を傾け、その不満や不安、迷いや悩みを契機として、部下やメンバーが人間的に成長していくことを支えること


(注1)『明鏡国語辞典』第三版(2021)大修館書店
(注2)田坂広志(2019)『能力を磨く AI時代に活躍する人材「3つの能力」』日本実業出版社