俳句・短歌 四季 2022.08.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第116回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 女学生胸部きょうぶの様に愛しくも 理想を映し咲いた紫陽花 桃色やオレンジ色の木々の花 空中都市が咲いている様 テーブルに雀舞い降り並び合い 風雅に食べる昼食の時
小説 『約束のアンブレラ』 【第8回】 由野 寿和 3ヶ月前に失踪した女性は死後数日経っていた――いつ殺害され、いつこの場所に遺棄されたのか? 激しい雨が次第に弱まり、木々の葉には美しい雫が溜まり始めている。時刻は午前十時半。応援に駆けつけた静岡県警の捜査員は現場周辺を封鎖し、地形の安全確認を行っていた。大通りは通行止めが実施され、周辺は土砂や流木が散乱し危険な状態だ。鑑識課の捜査員数名が周囲を取り囲み、ブルーシートの包囲線が敷かれていた。静寂の広がる藤山の山中では、静岡県警の現場検証が始まっている。鳥谷は息を大きく吸うと、周囲の匂いを…
小説 『Angel Story もう一つの創世記』 【第4回】 八百原 起也 神だけが口にできる“禁断の果実”――天使ミカエルが見た創世の秘密と、運命を変えたエデンの真実とは? 【前回記事を読む】そのおぞましい身体を美しい女神の姿に変え、地球に降り立った闇の神。「この美しき地球を我が物とする!」やがてラッパが鳴り響くと、心地よく流れていた音楽も止(や)んだ。皆の視線が廊下に向けられた。宮殿を司(つかさど)る女神が現れたのだ。女神が動くたびに長い髪がしなやかに揺れた。天使たちは一瞬にして女神の美しさに心を奪われ、持っていた杯を落とす者、茫然と立ちつくす者もいた。ガブリエル…