俳句・短歌 四季 2022.06.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第111回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 野鳥見る緑化環境夕方に中空ちゅうくうを舞う蝙蝠こうもりに会う 桃色の花を見た後あとビール飲み桃源郷とうげんきょうの心地ここち味わう 文化課の太極拳に参加して指導教師の極美きょくびに見蕩みとれ
小説 『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』 【最終回】 花田 由美子 「死んだ妹は、息子さんの子を宿していました」遮断機の下、妊婦が倒れていたことに誰も気がつかず、母子ともにそのまま… 【前回の記事を読む】海外出張から帰国した父と、1年ぶりに再会…父には現地の女性との間に子供ができた疑惑があり…二〇一〇年 悌「こんにちは、あの、加藤さんですね、私は孝一さんの友人の鈴木タカコの兄、鈴木ヤスシと申します」高齢女性にしては背の高いシルエットが目的の人だと確信した。玄関わきに咲き誇る紫のシャクヤクのように真っすぐな背筋をしている。自分に目を上げるその顔の、シワの深さもシミの多さも、彼女…
小説 『ヒスイ継承』 【第12回】 守門 和夫 足を滑らせ、そのまま谷底へ落下!——と思いきや"何か"が私を受け止めた。そして次の瞬間… 【前回の記事を読む】「タイムマシンで時間を巻き戻したみたい」——両親と山菜とりに訪れた新潟。トンネルを抜けた先に見えてきたのは…おじいちゃんの田んぼは沢沿(さわぞ)いにあった。まだ残雪が、ところどころ川をおおっていた。沢(さわ)をはさんで田んぼの反対側は、けわしい岩の斜面(しゃめん)だった。長い年月をへて、草木が生え、岩の上に土をとどめていた。そんな場所がゼンマイの生育には適していると、おじいち…