俳句・短歌 四季 2022.06.18 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第111回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 野鳥見る緑化環境夕方に中空ちゅうくうを舞う蝙蝠こうもりに会う 桃色の花を見た後あとビール飲み桃源郷とうげんきょうの心地ここち味わう 文化課の太極拳に参加して指導教師の極美きょくびに見蕩みとれ
エッセイ 『一人十色』 【第2回】 イドゥルギ ヒロ,イドゥルギ ヒロ 「息子の顔が見たい」と言う妻に、私は「後でゆっくりね」と言ってしまった。だがそのあと妻は意識を失い、我が子に会えないまま… 【前回記事を読む】「至急病院に来て欲しい」妊娠した妻の病院から電話があった。病院に飛ぶと、妻は集中治療室の中で......手術を終えて我が息子と初対面した。通常なら周囲に祝福される瞬間だが、低体重児だったのですぐにNICUに回され、妻は息子の顔が見たいと微かに言っていたが、「後でゆっくり見られるから今は安静にして」と言ったのを今でも後悔している。妻はICU病室から個室に移ったが寝たきりの生活だっ…
小説 『花ことばを聞かせて』 【新連載】 島 蘭子 「この辺はタクシー止まらないですよ」――電車も動いていない時間、女は知らない男の車に乗ってしまうが… 色とりどりのネオンが綺麗だった。見飽きた煩い夜の新宿という場所ではなかった。いくつかのネオンがキラキラと輝き、そして華やかに輝く光は、まるで夢の中に居るようで、そこから動けず立ちすくんでいた。すると眩しい光が急に、顔に当たり目が開かないのか、今ここが夜なのか昼なのか分からなくなって全てが消えてゆくのか……。あまりの眩しさに重い瞼を開けると、そこは自分の部屋ではないと、毛布を払いのけ慌ててソファか…