俳句・短歌 四季 2022.06.23 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第106回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 日々毎ひひごとに張りが出て来て紫陽花あじさいの 盛り極めて美しく成る ビール飲み鯖さばの塩焼き居酒屋の 深酔ふかよいをして帰宅する哉 芝草しばくさの黄色の花の咲く傍そばに 雨に際立つ紫陽花あじさいを見る
小説 『春のピエタ』 【第7回】 村田 歩 刑務所で、お袋と13年ぶりに対面…こんなに小さな女だったか―。あの頃、生活が苦しく、いつも歯を食いしばっていたお袋は… 俺たちは婆さんより早く呼ばれた。刑務官に案内されているとき、初めて親父が落ち着かない様子を見せた。首から下は先を行く刑務官に素直に従っているのに、首から上はまるで道を見失ったかのようにあたりをきょろきょろ見回している。勝手が違う、といった顔だ。俺は急に不安になった。悪い想像が浮かぶ。たとえばお袋は急病で、敷地内の医務室のベッドで身動きできなくなっているのではないか。だからいつもの面会室で会うこと…
小説 『ラガーマン ジャッカル翔』 【最終回】 上山 照 「襲われたのは、出張中の日本の商社マン。その人は襲ってきた二人を撃退したらしい。」…それってもしかして、ラガーマンの彼!? リックはロイに「襲われた人はアラブ人と言っているのか?」と尋ねるとロイが「襲われたのは日本の商社マンで出張中に襲われたらしい。犯人は一言もしゃべらず襲って逃げたと言っているようだ! 実は本人が忙しくて未だ直接会って無いのだが……」と話した。リックが「東洋人!」と奇妙な声を出して、「他に何か気になる事は無いのか?」とリックが尋ねると「ホテルのガードマンが言うには、一人は東洋人が投げたナイフで頭を打…