俳句・短歌 四季 2022.06.25 歌集「漣の夢」より3首 歌集 漣の夢 【第112回】 上條 草雨 中国江蘇省・無錫に留学し、その地の美麗さに心奪われた著者が詠み続けた、珠玉の短歌二一〇〇首と三九首の漢語短歌を連載にてお届けします。 この記事の連載一覧 最初 前回の記事へ 次回の記事へ 最新 あちこちに視線を止めて愛おしく 咲くを見い出す桃色の花 繁茂して水路の小川細くする 緑の命並び立つ葦 花咲いて住宅ビルに街の木々 自然讃歌を共に生きてる
小説 『サトゥルヌス[注目連載ピックアップ]』 【第12回】 花田 由美子 認知症の母を助けようと下敷きに…お腹の子の上に膝をつき、全体重をかけられた。激痛、足の間からは液体が流れ、赤ちゃんは… 【前回の記事を読む】プロポーズされたのに、言えない…両親に家がないこと。借金まみれで、寮に住み込み、極狭スペースで寝起きしていること。「孝子」父親の声で目が覚める。「かあさんが、いない」孝子は腰かけた姿勢で目を閉じていた。玄関に取り付けた三重の鍵が外れている。一番上の鍵を外すために、お母さんは椅子を移動させたらしい。気がつかないほど熟睡してたなんて。「孝子、いつも悪いね」かすれた弱々しい声が心か…
小説 『Ore Joe! 俺たちの青春』 【第6回】 本村 雅寛 自分の部屋で窓越しに通行人を殴った時は、全く音はしなかったが、「サンドバッグ」は様々な音を出した。その快感が忘れられず… 【前回の記事を読む】秋葉原を空手着を着たまま走っていたらコスプレイヤーに群がられ…ヨシオは、月に何回か秋葉原を走っている。何も変わっていない日常がそこにあった。空手着を着て走っていたが、思っていたほど、通行人の目は怖くない。コスプレの多い、この町では、空手着は普通に溶け込む風景だった。ヨシオは、何度か秋葉原に来る中で、一か月に一度は、長距離を走ることにしている。ヨシオは高層ビルの中を、西に向かっ…