その事務所は新の自宅の最寄りの駅から四つ離れた駅から徒歩十分のビルに入っていた。三階でエレベーターを降りると、廊下の両サイドにはドアだけが並んでいて、ホテルの廊下を想像させた。どの部屋も、ドアの外から部屋の中を見ることはできなかった。チラシに書いてあった三〇一号室はエレベーターの目の前の部屋だった。予約した時間の十分前ではあったが、チャイムを鳴らした。「はい」電話のときと同じ声だった。「六時に…
小説
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