第一章 ショーが居なくなった!
家族で近くのスーパーに買い物に行く時がある。そんな時、一瞬、見失うことがあるが、長い時間発見できなかったことはなかった。
ショーは、隣のフロアで踊りのように手を上げたり下げたりし、同じ動作を繰り返しているのですぐ発見できる。ショーの周りの人も不気味なものを見るように離れて行ってしまう。そういうことなので大抵どこに居るか察することができる。
そうかと思うと、商品棚の間をヒー、ヒーと言いながら走り回っているだけなので、やはりすぐ見つかる。もちろん、ショーの姿が見えなくなったら即探すのだが……。
つまりは、ショーと離れてしまってもそんなに長く探すことはなかった。大抵、見失っても数分位で発見することが多い。
三十分、いや一時間以上も見つからないと本当にやばい。外も暗くなってきてしまう。
「分かった。直ぐ帰る」と私は言い受話器を置く。すぐさま同僚にその旨を伝えるや会社を後にした。
私の勤務先はJR山手線内にある大崎駅。家は千葉県K市。あまり有名ではないが身長二メートル位の小さな大仏がある所だ。
通勤ルートは、JR大崎駅から品川駅。品川駅からJR総武快速線船橋駅で降り、東武線に乗り換え、約十分乗った所がK駅である。
今、午後三時十分。家まで電車に乗って約一時間半位かかる。家に着いて四時四十分過ぎ位だ。