洗面所の鏡の前に立った西村明広は、じっと自分の顔に見入った。白髪が混じった薄い髪であったとはいえ、その髪はすっかり消え失せてしまっている。濃い眉毛も数本の毛だけになった。つるつるの頭が光っている。毛根からは、何かしらネチャネチャした汗みたいなものが出ている。西村は思い出した。自分は半年前には、総合病院に入院していたのである。入院時に、左腕に番号付きの「腕輪」をはめられた。あたかも囚人みたいに収…
エッセイ
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『「死」から「生」へ』【第20回】三田 徹
ある日のこと。西村は、とんでもない「死の告知」を耳にした…
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『HOOD 私たちの居場所 音と言葉の中にあるアイデンティティ』【第21回】新道 有美
「あまり悪いことすんなよ」間一髪で、彼は運よく難を逃れた。
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『女タクシー日記』【第2回】一森 ゆかり
「マスクしないの?」タクシー運転手の私がマスクをしないワケ
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『窓ガラスが鏡に変わるとき-文庫版-』【第2回】島 至
人が生まれてくる目的…「生きる」とは「愛する」ということ。
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『安らぎのある終の住処づくりをめざして』【第11回】鈴木 岳
馴染みのある家具や風景…人生最期の住まいに必要なものとは?
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『日本のこれからをつくる本』【第6回】島田 雅胤
「無農薬」へのこだわり…農業問題の根本的な解決のために。
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『旅のかたち 彩りの日本巡礼』【第15回】秋元 忍
噛めば噛むほど味が出てくる…大人の街「京都」の魅力とは?
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『きょうは着物にウエスタンブーツ履いて』【第18回】矢作 千鶴子
着物で日本人のスイッチが入る。そのギャップがパワーに
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『音楽のジャポニズム!~考証・三浦環』【第48回】田辺 久之
朝ドラ『エール』の三浦環、突如帝劇の舞台から姿を消し…
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『眼(あい) 天使が語った道しるべ』【第14回】ちさ&タモツ
縁起の悪い日なんてない?人生における「本質の時間」とは
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『破壊から再生へ』【第15回】橋岡 蓮
ハイライトメンソール、赤い口紅…音楽は孤独な人々を癒す
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『泥沼の底から光の射す大空へ』【第11回】さくら
決定的な出来事
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『人生勝ちきり戦略』【第18回】米澤 幸夫
自分を律して生きていく…「自由」と「我がまま」の違いって?
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『思いつくまま―愛しさと懐かしさと感謝にあふれる人生―』【第12回】佐伯 知香
約30年ぶりに始まった学生生活…新しい環境に心が躍っている
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『サラリーマン漫遊記 センチメートル・ジャーニー』【第29回】朝日奈 孝彦
女房と山口県へ温泉旅行へ…頭の中は、廃屋食堂のことで一杯。
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『タイの微笑み、バリの祈り―⼀昔前のバンコク、少し前のバリ― ⽂庫改訂版』【第5回】柴田 和夫
夏の終わりに食べた母のおにぎりは、しんみりとした味がした。
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『生きること 終うこと 寄り添うこと』【第11回】矢野 博文
「入院しない!」排泄物を垂れ流し…救急搬送から10日後の事
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『昭和の残り火』【第5回】横山 緝子
私は日常を忘れ、平成も昭和も一気に飛び越してしまった。
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『女タクシー日記』【新連載】一森 ゆかり
「私も頑張らなきゃ!」そう思えるのは、お客様のおかげです。
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『「死」から「生」へ』【第19回】三田 徹
「二宮啓子を殺したのは、僕です」警察に自首したのは…