昭和35年。とある商店街の魚屋・磯吉商店を舞台に、3世代にわたる愛憎を描いた物語。
商店街の魚屋・磯吉商店を切り盛りするキヨ。中学を卒業後、キヨの下で働いてきたハル。
そして、ハルとともに家業を助けてきたキヨの長女トモ。
3人の関係は、長男のシンが帰郷して商店で働き始めたことで、少しずつ歪んでいく。
ハルとトモを頼りにしながら、キヨは自分の息子が店を継ぐという考えを捨てられなかった。店の将来を
第一に考えて行動するハルは、次第にキヨから疎まれるようになり、一家の中で孤立を深めていく。事態
を変えたのは、大人しかったトモの大胆な決断だった。
人情経営の愛憎渦巻く舞台裏を描いた家族小説。