いや、一見そのように見えたが、体が小柄なだけで、祐介たちとそう変わらない年回りの女性だった。赤い布地に黒い格子の入った長袖シャツとジーパンを身に着け、そして白いスニーカーを履いて今にもハイキングにでも出かけようかという出で立ちだった。肩から、大きな萌黄色(もえぎいろ)の布袋をぶら下げている。「おじゃまします。一年生の小寺清美(こでらきよみ)と申します。今日は、皆さんにお話があってお訪ねしました」…
[連載]海辺のレクイエム
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小説『海辺のレクイエム』【第6回】源 久
別れた後に後悔…当たり前と思っていた彼女の優しさや思いやりが実は当たり前のものではなかったと
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小説『海辺のレクイエム』【第5回】源 久
「裏切りやがった。気があるふりをしたくせに」「彼女と別れたから私と付き合いたいなんて…どうかしてる」俺は板挟みで…
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小説『海辺のレクイエム』【第4回】源 久
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小説『海辺のレクイエム』【第3回】源 久
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小説『海辺のレクイエム』【第2回】源 久
結ばれなかった彼女、自分を選ばなかったことへの後悔はないのだろうかと今更ながら…
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小説『海辺のレクイエム』【新連載】源 久
「私の苗字を名乗ってくれる人がいるの…」十七年前そう言って離れていった君は今