祐介はその頃、バイト先の新宿のデパートで知り合った隣の売り場のバイト娘と付き合い始めていた。名前は香澄(かすみ)といい、売り場ですれ違うたびに笑みを浮かべるので、閉店後にお茶でも飲もうかと誘ってみたら付いて来た。まだ幼さが目元や口元に残る色白で小柄な娘だった。高校を出たら看護学校に進みたいという。或る日のこと、祐介は、香澄と上野の国立西洋美術館に出掛けた。当日は、常設展だけなので館内は訪れる客も…
[連載]海辺のレクイエム
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小説『海辺のレクイエム』【第7回】源 久
恋人のふりをする彼女。日本人離れした色白の目鼻立ちの整った顔立ちだが、それ以上に男の目を惹く女だということを感じずにはいられなかった。
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小説『海辺のレクイエム』【第6回】源 久
別れた後に後悔…当たり前と思っていた彼女の優しさや思いやりが実は当たり前のものではなかったと
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小説『海辺のレクイエム』【第5回】源 久
「裏切りやがった。気があるふりをしたくせに」「彼女と別れたから私と付き合いたいなんて…どうかしてる」俺は板挟みで…
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小説『海辺のレクイエム』【第4回】源 久
結局は友人の口車に乗せられて、浮気現場を演出することに… それは彼女を傷つけないための選択だった
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小説『海辺のレクイエム』【第3回】源 久
「お前に頼みが有るんだ」友人が切り出してきたのは別れ話のことで…
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小説『海辺のレクイエム』【第2回】源 久
結ばれなかった彼女、自分を選ばなかったことへの後悔はないのだろうかと今更ながら…
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小説『海辺のレクイエム』【新連載】源 久
「私の苗字を名乗ってくれる人がいるの…」十七年前そう言って離れていった君は今