学生運動が終焉し、学生街をノンポリと呼ばれる若者たちが席巻する。この時代に「三無主義」という言葉が流行った。無気力、無関心、無感動。すべてを否定的に捉える虚無主義とも違う、否定するエネルギーさえも持ち合わせない、いわゆるしらけ世代と呼ばれた若者たちだ。青年期の僕は、まさに三無主義という言葉がしっくり当てはまった。教室の片隅で自分が座る空間さえあればそれで十分だった。何かに熱中する友達が疎ましかっ…
[連載]八事の町にもやさしい雪は降るのだ
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第5回】宮野入 羅針
無気力だった僕を大きく変えたクラスメイト。彼から「お前が真面目すぎるのは女を知らないからだ。今度紹介してやるよ」と言われ…
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第4回】宮野入 羅針
長い階段を転げ落ち、亡くなっていた。誰にも気づかれないまま、おじさんの身体には朝まで雪が降り積もり…
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第3回】宮野入 羅針
「生活保護受けてるんでしょ? お父さん、何やってるの?」と同級生たちにからかわれ…
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第2回】宮野入 羅針
芽衣おばさんの身体に青あざが絶える日がなく、綺麗だった白い前歯も欠けてしまった
-
小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【新連載】宮野入 羅針
鈍色の空を見ると胸がざわつく僕。「雪」と「長い石段」と「彼女」を思い出し…