結局、高橋が言う訳のわからない理由とお膳立てで、高二の秋に初体験を済ませた。親が外出中の高橋のガールフレンドの家に、寛美という女の子を呼び出した。寛美はショートの髪が似合う、よく笑う女の子だった。フライドチキンとバドワイザーでひとしきり盛り上がった後、高橋と彼女が示し合わせたように隣の部屋に消えた。暫くすると壁越しにあからさまな喘ぎ声が聞こえ始めた。行き場がなくなった時間の中、僕は寛美を押し倒し…
[連載]八事の町にもやさしい雪は降るのだ
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第6回】宮野入 羅針
高橋の姿がなく、どうしたのかと思っていたところ、「皆落ち着いて聞いてくれ…」と担任から高橋が死んだというまさかの知らせが…
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第5回】宮野入 羅針
無気力だった僕を大きく変えたクラスメイト。彼から「お前が真面目すぎるのは女を知らないからだ。今度紹介してやるよ」と言われ…
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第4回】宮野入 羅針
長い階段を転げ落ち、亡くなっていた。誰にも気づかれないまま、おじさんの身体には朝まで雪が降り積もり…
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第3回】宮野入 羅針
「生活保護受けてるんでしょ? お父さん、何やってるの?」と同級生たちにからかわれ…
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【第2回】宮野入 羅針
芽衣おばさんの身体に青あざが絶える日がなく、綺麗だった白い前歯も欠けてしまった
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小説『八事の町にもやさしい雪は降るのだ』【新連載】宮野入 羅針
鈍色の空を見ると胸がざわつく僕。「雪」と「長い石段」と「彼女」を思い出し…